学生向け情報
機械学習やAIが大きく発展し、学術分野だけでなく産業界を含む社会全体で広く使われるようになっています。それに伴い、従来の機械学習やAIが主に扱ってこなかった「データに基づく因果関係の推論」に関する研究が重要性を増しています。これは「因果AI (Causal AI)」と呼ばれる分野です。因果関係の解明は科学や実務における主要な目的の一つであり、現在のAI技術と因果AIを組み合わせることが、これらの分野の発展に大きく貢献します。
研究内容
私自身の専門はデータサイエンス・AIです。特に、データから因果関係を推測するための方法論である統計的因果推論のうち、統計的因果探索を研究しています。研究内容は例えば、スライドや動画や論文を見てください。
学生は、機械学習や統計的因果推論にまたがる新しいデータ解析法をつくったり、改良したり、性質を調べたりしています。また、それを用いたデータ解析を行ったりしてします。例えば、
統計的因果探索の新しいアルゴリズムをつくる
統計的因果探索を使ってAIの説明性や公平性を評価・向上させる
統計的因果探索を使って機械学習の精度を改善する
統計的因果探索を使って因果効果推定法の適用範囲を広げる
機械学習や統計的因果推論を用いて科学や実務のデータ解析を行う
統計的因果探索の新たな活用法を考える
これらの逆
などが挙げられます。
博士の学生には社会人も多く、データサイエンス・AIの方法論研究やそれらを用いたデータ解析により、科学や実務の課題解決を目指しています。
これらの研究を通じて、因果推論するAIである因果AI (Causal AI)をつくりましょう。
研究の進め方
進捗報告を行うセミナー(コロキウム)と勉強会の2本立てで考えています。卒論テーマは時間的制約もありますから、因果探索に習熟することをメインに私から候補を提案することも多いですが、修論や博論テーマは学生からも候補を出してもらい相談しながら決めます。例えば、データ解析法を作る研究をする場合は自分がほしいものを作り、データ解析法を使って何かを調べる場合は自分が強く調べたいことを調べてもらうとよいと思います。
コロキウムでは、1、2ヶ月に1回程度、各自の研究の進捗報告をし、メンバーからフィードバックをもらい、さらに進めることを繰り返します。一般に、学位論文でやる内容は一夜漬けで終わるようなことでは全くないので、普通に大変です。卒業や修了に向けて、継続的に日々取り組めるとよいと思います。
予備知識としては、確率論や統計学、プログラミング (ちなみに、この分野ではPythonのcodeが多いです)に関する知識や経験、データを活用した科学や実務における意思決定などに興味があるとよいでしょう。
参加する教育プログラム
大阪大: 大学院工学研究科 電気電子情報通信工学専攻 情報通信工学コース・工学部 電子情報工学科 情報通信工学科目 通信工学コース
滋賀大: 大学院データサイエンス研究科 博士後期課程 (博士「後期」のみ)
大学院進学説明会・オープンキャンパス
博論・修論
大阪大: これから
滋賀大: DS研究科の博論・修論 (公開可のもの)は、滋賀大学 学術情報リポジトリで見ることができます。
博士論文
修士論文の例